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update:2021.05.09 担当:劉 建
晋書巻九十五
列伝第六十五
曇霍
人物簡介

曇霍(生没年不詳)は、どこの人かは不明である。禿髪傉檀の治世に河南から来た。風のように速く歩き、人の生き死にや貴賤を寸分違わず言い当てた。戦乱となると、行方不明になった。

本文

沙門の曇霍(1)は、どこの人かは不明である。曇霍は禿髪傉檀の治世に河南から来ると(2)、手に錫杖を持ち、人を跪かせると、言った。「これは般若の眼である、尊崇すれば悟りの果を得ることができる。」当時の人達は皆、曇霍に対して驚きを感じた。ある者は曇霍に服を贈ったが、曇霍は受け取ると川の中に捨ててしまい、後日、元の所有者に持って来て返すと、服は汚れてなかった(3)。曇霍は風のように速く歩き(4)、人の生き死にや貴賤を寸分違わず言い当てた。ある者は曇霍の錫杖を隠してしまい、曇霍は大声で泣くと、暫く目を閉じたが、起き上がると錫杖を取り出したので(5)、皆は曇霍が非常に不思議であるのに対して、驚きを感じたが、曇霍の詳しい事情を知る方法は無かった。曇霍はいつも傉檀に対して言った。「もしも落ち着いて座り、為すがままにまかせることができれば、あのように天下は自ずと平定し、子孫は繁栄することができましょう。もしも指揮無しで兵を用い、戦争を好むならば、災いは自分の身に訪れるでしょう。」禿髪傉檀は〔曇霍の〕言うことを聞かなかった。

禿髪傉檀の娘は病気が重かったので、曇霍に病気を治すように頼むと、曇霍は言った。「人の生死は自ずから定めがあり、聖人もまた禍を転じて福となすことはできないのだから、〔この〕曇霍がどうして娘さんの寿命を延ばすことができましょうか!ただ娘さんの亡くなる時を知ることができるに過ぎません。」禿髪傉檀は断固として頼み込んだ。当時、後宮の門は閉めてあったので、曇霍は言った。「大急ぎで裏門を開けて、門が開くのに間に合えば、生きていくことができるでしょうが、間に合わなければ亡くなってしまうでしょう。」禿髪傉檀は門を開けるよう命令したが、間に合わず〔娘は〕亡くなった。その後、戦乱となり、〔曇霍は〕どこに行ったのか分からなかった(6)

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