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update:2021.03.03 担当:永一 直人
晋書巻九十六
列伝第六十六
何無忌母劉氏
人物簡介

何無忌の母の劉氏(生没年不詳)は、彭城郡の人である。征虜将軍の劉建のむすめで、劉牢之の姉。若くして折り目正しい志をもっていた。弟の劉牢之が桓玄に殺されると、桓玄打倒を謀る何無忌を応援した。

本文

何無忌の母の劉氏は、征虜将軍の劉建のむすめである。若くして折り目正しい志をもっていた。弟の劉牢之が桓玄に殺されたので、劉氏はこのことを思うたびに、いつも報復を考えていた。何無忌が劉裕とともに〔桓玄打倒の〕謀を定めると、劉氏は何無忌の挙動がおかしいことに気づいて、喜びながらも言わなかった。ちょうど何無忌が夜に屏風の裏で檄文を推敲していたとき、劉氏はこっそりと蝋燭の明かりを器で覆い、ゆっくりと腰掛けに登って屏風の上からこのようすをのぞき見した。〔密事を〕知ったのち、泣きながら息子を撫でて「わたしは東海の呂母(1)の知恵にも及びません!すっかり真情にそむいて、いつも寿命が縮まることを恐れていました。おまえがこのようなことを成し遂げられたら、わたしはかたきの恥をそそぐことができます。」といった。そこでその謀に同心している者のことを問いただし、事〔の中心〕に劉裕がいることを知るとますます喜び、そこで桓玄が必ず敗れ義軍が必ず成功する道理を説いて、義軍への勧誘につとめた。後にやはりその言葉のとおりとなった。

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