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update:2021.03.07 担当:永一 直人
晋書巻九十六
列伝第六十六
王広女
人物簡介

王広のむすめ(生没年不詳)は、どこの出身の人か知られていない。顔かたちがたいへん美しく、気概は男まさりのふしがあった。父が梅芳に殺されると、梅芳の妻にされそうになったが、梅芳を不意打ちして失敗すると、梅芳をののしって自殺した。享年十五。

本文

王広のむすめは、どこの出身の人か知られていない。顔かたちがたいへん美しく、気概は男まさりのふしがあった。王広が劉聡に仕えて、西揚州刺史となった。南方異民族の将軍の梅芳が揚州を攻め落とすと、王広は殺された。王氏はときに十五歳で、梅芳は彼女を妻にしようとした。彼女は不意をついて暗い部屋で芳を討とうとしたが、当たらなかった。梅芳は驚いて起きて「どうしてさからうのか?」といった。王氏はののしって「けだものめ!わたしこそさからった賊を殺そうとしているのに、どうしてわたしがさからったというのか?父の仇とは同じ天を戴かない、母の仇とは同じ地を踏まないと、わたしは聞いている。おまえはよしなくも反逆し、人の父母を害し、しかもまた無礼にも人を痛めつけようとしている。わたしが死なずにいるのは、おまえを殺したいがためだけだ!いま死ぬのはもとよりわたしの天分で、おまえが殺すのを待ってはいられない。おまえの首を道端にさらすことができなかったのがただ心残りだが、死んで大いなる恥をふさごう。」といった。語気はげしく、言い終えると自殺した。梅芳はこれを止めようとしてできなかった。

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