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update:2021.03.14 担当:永一 直人
晋書巻九十六
列伝第六十六
陝婦人
人物簡介

陝婦人(生没年不詳)は、姓と字が知られていない。劉曜のとき、陝県でやもめ暮らしをしていて、叔母にたいそうまめまめしく仕え、自ら顔を傷つけて再嫁しないことを誓った。叔母が病死すると、そのむすめに叔母を殺したと誣告され、冤罪のために処刑された。のちに冤罪が判明し、孝烈貞婦と諡された。

本文

陝婦人は、姓と字が知られていない。年は十九であった。劉曜のとき、陝県でやもめ暮らしをしていた。叔母にたいそうまめまめしく仕えたので、その家は婦人を再婚させようとしたが、この婦人は自ら顔を傷つけて再嫁しないことを誓った。のちに叔母が病死その叔母にむすめがあって夫の家にいたが、以前この婦人から暇をもらおうとしてもらえなかったことを恨んでいたので、婦人がむすめの母を殺したのだと誣告した。役人は真相を察することができず、婦人を処刑した。ときに鳥の群れが死体の上で悲しい鳴き声をあげ、その声はたいへん哀れだった。盛夏に死体を十日さらしたのに、腐らなかった。虫やけものも傷つけることがなく、そのあたりはついに年中雨が降らなかった。劉曜が呼延謨を派遣して太守とすると、婦人の冤罪であることが知られた。誣告したむすめを斬って、生け贄を捧げて婦人の墓をまつり、諡して孝烈貞婦といった。その日、大雨となった。

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